しかし、野球には好かれていたのかもしれない。 それは、「甲子園でノーヒット・ノーランを達成した翌日に退部を考えた」と言う彼の一言に集約されている。 それでも彼は、自分を育ててくれた故郷に感謝し、出会ってきた人達に感謝し、そして自分を創ってくれた野球に感謝している。 故郷が・出逢った人達が・そして野球が今の新谷を作った。それは紛れも無い事実だ。
自分を育ててくれた佐賀には、いつ何時も感謝の気持ちがあり、恩返しをしたいという気持ちを持っています。
しかし、ほとんどの人達がそうであるように、僕自身も故郷への恩返しなどどうやってやればいいのか等は判るはずもありませんでした。
ある時、大学の先輩から、佐賀には40年間社会人のチームがないことを聞きました。
40年って、ちょうど僕が生まれた年から大学・社会人・クラブチームなどのいわゆる18歳以上の硬式チームが無かった訳です。
最初に思ったのは「何故?」、次に「やらなければ」でした。
すぐに地元の仲間達に相談して、作ろう!!という事になりました。
そうして出来たチームがクラブチーム「佐賀魂」です。
魂と書いて「スピリッツ」と言うのですが、メンバーは野球が好きで入部した選手から、勿論プロを目指す選手もいます。クラブ選手権全国大会に出場も果たしました。
僕としては将来的にこのチームが佐賀のチームとして確立して欲しいと思っています。
チームのみんなが佐賀の為に活動し(野球だけではなく)県民に認められて、応援してもらえれば最高です。
はやく「おらが村の代表チーム」になって欲しいと思っています。
僕は、クラブチーム「佐賀魂」の他に「17会」という会を作ってチャリティーコンペや寄付活動、少年野球大会等を開いています。
これは僕がプロ野球に入った時、応援してくれた仲間達が作ってくれた会ですが、引退してからもずっと活動を続けてくれています。
「佐賀魂」や「17会」の活動を知る人達にはよく、新谷さんはすごいですね。とか、よくやっていますね。とか言っていただきますが、僕自身はくすぐったい感じがするんですよね。
というのも、実際活動しているのは地元の仲間達で、僕は何もしていないから・・・。
まったくという訳ではないですが、ほとんど仲間達にまかせっきりです。
みんなは僕に恥をかかせない様にとか、途中でやめられないだとか、涙が出る様な事を言ってくれて、活動を続けてくれています。
本当に心から感謝し、一生大切にしていきたい仲間達です。
これからもまだまだ佐賀への恩返しをしていきたいので、みんな頑張ってくださいね・・・(笑)
実は僕は野球というスポーツはあまり好きではないんです。
でも野球には心から感謝しています。
僕と野球は好き嫌いにかかわらず、切り離すことは出来ないですし、関わりをやめようとも思っていません。もちろん一生、関わっていくでしょう。
そんな野球との関係の中で、現役引退後からとても興味をもったのがコーチングです。
現役の間は自分が結果を残すために考え練習してきましたが、コーチングではあずかった選手(人間)達の上達を目指す訳です。
本当に難しい仕事ですがその分、喜びも大きいです。
僕の考えるコーチングとは、一言で言うと自分と選手の絶対的な信頼関係を作る事です。
この信頼の構築とは、絶対のものでなくては意味がありません。故にとても困難で時間がかかる作業です。
しかし、この関係を築く事が本当の意味でコーチングの始まりだと思っています。
指導者と選手とは立場上、指導者の方が優位に立ち、指導者の意見を選手が聞き、実行する・しなければならない様な図式になりがちですが、これでは良いコーチングは出来ません。
指導者はいつも自分が未熟である事に気づき、総じては選手たちから信頼される為に努力を惜しんではならないのです。
この基本的な関係を作った後に、技術指導や、生活指導の実践があるのです。
私がよく目にする最悪の指導者は、選手が汗を流し、練習している最中に、タバコを吸いコーヒーを飲みながら指導(怒鳴っている)する人です。
いつも同じ事を思います。
―あなたは何様?-
少しでも指導者としての自覚があるなら、選手の為に勉強し、多くの引き出しをもってもらいたいと思っています。
そういう自分もまだまだ未熟なので、いろいろな分野の方々方達に協力して頂き、もっともっと引き出しを増していこうと思っています。
僕は『出逢い』というものにとても感謝しています。
人と出逢うことで成長させて頂き、出逢った人達に支えられ、今までも素晴らしい人生が成り立っていると思っているからです。
これまで様々な人達と出逢い(もう随分逢っていない人も多いですが)色々な経験をさせて頂きました。
野球を通じての出逢いはたくさんありましたが、僕の中では王貞治さんと出逢えた事はとても大きな出来事でした。
王貞治さんのスケールの大きさや、やさしさを間近に感じることが出来たのは本当に貴重なことです。
それから、小・中・高・大・社・プロと進んできて、各世代の監督さんには僕の人生において大きな影響を与えて頂きました。
先輩や後輩の中には今でもお世話になっている人達がいて、本当に感謝しています。(同級生は勿論です)
野球以外にも多くの出逢いがあり、僕の人生には欠かすことの出来ない大切な出逢いとなりました。
そして最も重大な出逢いは家族との出逢いです。
両親や祖父母をはじめ、妻・子供には心から感謝しています。「ありがとうございます」
そして、僕はこれからも多くの人達と出逢うことを楽しみにしています。